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思ったようなシナリオが上がらない。ユーザーからの苦情が多い。つまり、起用しているシナリオライターのスキルが低いんだ!まだそう結論づけるには早いかもしれません。シナリオライターには本人さえも自覚していない、強みを出せるプロジェクトがあるのです。
今回の記事をざっくり言うと…
- 優秀なシナリオライターはスケジュールが確保できない
- ゆえに自社の企画に合ったシナリオライターでチーム編成するしかない
- どうやって自社の企画に合っているかは、自社の企画と選考するシナリオライターを属性で分類すればわかる
それでは、くわしく説明していきます。
シナリオライター不足の現状
シナリオライターは現在、不足しています。
はっきり言うと、上手なシナリオライター(もはや作家と言うべきですね)は引っ張りだこで空きがありません。
要するに制作会社が勧めてくるシナリオライターは、仕事がない作家なのです。
さらに近年、ソーシャルゲームの資料の読み込みは数年前と比較すると数倍以上で、シナリオライターにとって力量を発揮しづらい業界になっていっているかもしれません。
どのシナリオライターを選ぶ?
シナリオディレクターやディレクターによるサポートがあることを前提としますが、シナリオ制作において最も大事なのは、「どのシナリオライターを選ぶか」。
当たり前のように見えますが、需要と供給の関係は無視できません。
ここに3人のシナリオライターがいるとします。
A. どんな案件でも好評なシナリオライター
B. イベントシナリオはおおむね問題がないシナリオライター
C. 問題を起こしやすいシナリオライター
どう考えてもA一択ですよね。
しかし述したように、現実のところ、Aはそうそういないのです。
つまり今後、シナリオ制作については、
①Aを採用する
②BとCを起用していく
という命題と向き合っていかなければなりません。
①よりは②のほうがはるかに現実的ですので、今回は②のBとCの起用について、お話します。
シナリオライターの強みを生かす
ひつじぐもで過去に経験したある作家をアサインした時のエピソードです。
●作家プロフィール
電子書籍数作をリリース。
ネタだしやプロットはかなりできる。
シナリオでは筆力は問題なく面白いものが書けるがキャラクターがとっぴな行動をすることがある。
企画の読み違え等、資料の読み込みには難がありキャラクターの理解や書き分けが難しい。
この方は典型的なCタイプのシナリオライターです。
そのプロジェクトでは、この方のシナリオはとても好評でした。次も同じ人でとのオーダーが来るくらい……。
別のプロジェクトにも投入しました。すると、この方は次からはやめてほしいと言われるほど不評でした。
企画に合ってないから。
そうですね。企画に合ってなかったのでしょう。
では、アサインする前に企画に合うか合わないかわからないのでしょうか?
シナリオ制作のためのシナリオライター分類
シナリオディレクターが勘と経験でこのように考えることはよくあることです。
「このシナリオライターならこの案件できそう」
この判断をもっと客観的に誰にでもできるようにできないかと考えました。経験10年のベテランができる判断を経験1年のシナリオディレクターができれば、ミスマッチを防ぎやすいと思ったのです。
そこでまず案件のマッチング率を調査するために以下のような表を作りました。
モザイクがかかっていますが、縦の列がシナリオライター名、右の列が案件名となっています。
特に好評だったものは◎、普通にできたものは◯、それなりのサポートを要したものは△、完全にミスマッチだったものはXとしています。
ざっと見ても面白いことがわかりますね。たとえば属性:ダークフォースの得意な案件は属性:猪突猛進は△かXになっていたり、属性:優等生は◯や◎が多かったり……。
結論からいうと、案件とシナリオライターを何らかの軸で分類し、アサインするのは有効です。
弊社ではあらためてどのように分類しているかといいますと、シナリオライターが素で書く「ヒロイン像」に注目しました。
優等生
地の文が丁寧で整っている。
キャラクター描写、ヒロイン描写ともに逸脱することなくシナリオ制作ができる。
難点としては遊び心を出すことや振り切ったキャラ作りが苦手な点。
控えめ乙女
女性的で柔らかい文章が書ける。
ヒロイン像は、一般的な乙女ゲームのヒロイン。
キャラクター描写は書き分けが弱い傾向にあり、得意不得意なキャラがはっきりしていることが多い(ただし経験によりカバーしていることも)
はっちゃけ小娘
ノリがよくアップテンポな文章が書ける。シナリオが読みやすいことが強み。
テンションが高めなことが相まって、ヒロインも元気でおバカな描写になりがち。
キャラクター描写に味が出る。
ダークフォース
文章力が高く、人を惹きつける描写ができる。
ヒロインの書き分けは自在に近い。
キャラクター描写は深くなる傾向にある。独自の世界観を持っていることが多い。
猪突猛進
勢いと流れのある文章が書ける。
文章力は高いことが多い。突っ走りタイプなので、ヒロインやキャラクターのハンドリングする人が必要。進路が定まれば申し分のないものが上がる。出版経験があることも多い。
弊社ではこのようにRPGのように属性分けしています。図にするとこんな感じでしょうか……。
さらにこれに文章力・表現力(能力)でB~Sまで分類しました。Cランク以降になると文章力じたいに問題があり、属性分けできない場合がほとんどでした。
さらに担当者数人にヒアリングしていくと、次のようなことがわかりました。
・「優等生」はそつなくどんな案件もこなせる。
・「控えめ乙女」は準「優等生」。業務経験を積むと「優等生」になることがある。
・「優等生」と「控えめ乙女」は起用しやすい。(案件の当たり外れが少ない)
・「はっちゃけ小娘」と「猪突猛進」は合う案件が少ない。
・「ダークフォース」は長編ノベルゲームやノベライズ等の案件をこなしていることが多い。
・「猪突猛進」は合うか合わないかの2択しかない。合えば評価は高い。
前項で出た作家は「猪突猛進」タイプだったので、案件の合う合わないがはっきり出てしまったのです。
どのシナリオライターでチーム編成すべきか?
無難に回答すると、優先順位としては、
- 優等生
- 控えめ乙女
この2属性は文体も合わせやすいので、数がいるならこのタイプでそろえるといいでしょう。
ただし前述したように、この属性は仕事が埋まっていることが多いです。
長期的な計画になりますが、求めるランクを下げて、教育やサポートをしながら育成をしていくというのもありだと思います。
優等生タイプの案件を猪突猛進タイプが執筆……みたいなのは誰も幸せにならないのでやめましょう。
自社の企画のテイストが他社と違うものだったりする場合は、その他の属性でマッチする可能性があります。
初期制作の段階でしたら、今取引しているシナリオライターの属性からシナリオ設計をするのがベストです。異なる属性から無作為に選んだチーム編成をすると、クオリティにばらつきのあるシナリオになり、シナリオディレクターやプランナーに負担になります。
ゲーム運営まで考えると、シナリオライターの選考、シナリオの設計も重要なフェーズといえそうです。
ひつじぐもでは一緒に働きたい 仲間を募集中!!
まずは、3ヶ月の⻑期インター ンシップでシナリオ制作の訓練をしてシナリオラ イター・シナリオディレクター を目指してみませんか?