乙女ゲームは国境に関係なく<恋愛>という共通の価値を提供しています。
また女性向け全般で話を広げると<推しを愛でる>ことが共通の価値になります。しかし、愛でるポイントが少しズレたら価値が変わってしまうため、ワールドワイドな共通認識だからこそサービスする地域による繊細なチューニングは必要不可欠です。
前回『恋与制作人』が日本ではあまり成功していないとお話しましたが、そのような繊細さが少し不十分だったのではないかと思っています。(あくまで私個人の意見ですが…)
中国の女性向けゲーム:ジャンルとゲーム性
中国の女性向けゲームでは中国のスマートフォンRPGのサイクルを簡略化したものが多いです。初めて触る人は日本のゲームに比べ多少やることが多く難しく感じるかもしれません。
また、収集だけでなく育成要素が多く、途中で難易度が一気に上昇する区間があるため育成を怠ると本筋の進行にも影響を与えます。
ゲームサイクルにおいて日本との違いは
①課金と非課金の線引きがはっきりしていること
(お金をかけるとその分ベネフィットが明確)
②サブシステムと育成要素が非常に多彩なこと などを掲げられます。
期間限定のイベント中心で売上の山を作るのは日本と似ていますが、自然と課金を誘導するUX設計が工夫されているのと、課金しないとそもそも遊べないコンテンツも存在するため無課金ユーザーと課金ユーザーには越えられない壁があります。
また、女性向けゲームはストーリーを大事にしますが、イベントがメインシナリオに絡むことも多いので一定以上サービスが進んだ場合は、新規ユーザーの流入が厳しくなる弱点もあります。こういう部分は今後改善が必要なのかもしれません。
キャラクターとシナリオの特徴
中国の女性向けゲームの面白い特徴として膨大なスケールを誇る場合が多いです。(気付いたら世界を救っていたこともチラホラ…)SFやファンタジー要素が加味されている場合が多く、普通の学園モノなどは一部のノベルゲーム以外は中々ないのが現状です。
柔らかくキレイなビジュアルとは裏腹にかなり重い展開になる傾向があるので(中国の文学性向の影響か悲劇が好まれるそうです)事前に覚悟が必要ですが、どれもストーリーに力を入れているので大スケールの一味違うゲームを体験できると思います。もし中国のゲームを触る機会がある際はぜひストーリーを吟味してみてください。
イケメンの基準は日本も中国もあまり変わらず、CEO、芸能人、幼馴染など登場する男性キャラクターの設定も馴染みのある要素が多いですが、シナリオ特性上に表面的な設定以外にもゲームをプレイするうちに分かる裏設定が大事です。
乙女ゲームはヒーローを3~5人ほど少人数で圧縮する場合が多く、キャラクター数が少ない代わりにイベントストーリーや育成のおまけで提供される甘い恋愛シナリオは恋する乙女を満足する大ボリュームです。
プレイヤーの分身になるキャラクターも可愛らしいビジュアルを持つ場合が多いです。ただ細かい設定が組まれている場合が多いので、ヒロインに自分を投影するタイプのプレイヤーには合わない可能性が高いかもしれません。中国の女性像を反映し、能動的で勝気、しっかりしたタイプのキャラクターが多いため、日本の乙女ゲームに比べるとやや気が強い、またはキャラクターが立ちすぎていると思われる受け止められるかもしれません。
若いCEOはヒーローのキャラクター設定に頻繁に登場します(笑)
左から『恋与制作人(李泽言)』『未定事件簿(陆景和)』『光与夜之恋(陆沉)』
最初強調した繊細さの話に戻ると、女性をターゲットにするゲームやコンテンツは一般的なカルチャライズ以上に、ユーザーの性向を理解した上でゲームのシステムと感受性などソフトな部分をケアすることが求められます。またコミュニケーション戦略を通じた期待値の調節も欠かせません。
最近の中国タイトルのカルチャライズは日々クオリティが上昇しています。これから日本にリリースする中国の女性向けゲームのカルチャライズにも注目です。
ひつじぐもでは、海外からのローカライズや制作などお手伝いします。
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