中国ゲーム市場に持つイメージはどんなものがありますか?
一番最初に中国政府による規制などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
版号制度と内容面の規制
中国でゲームを商用サービスする場合、中国政府の審議と許可が必要であることはご存知の方も多いと思います。「版号」と呼ばれるこの許可は中国のメディア政策を統括する中国の<国家新聞出版広電総局>が自国および外国ゲームに対して発行を行っており、版号を取得しないと中国国内ではゲームのサービスができなくなります。最近は中国のApple AppStoreでも版号が義務になりました。
版号の取得には厳しい基準を設けているため、海外のゲームはまずこれが大きなハードルになります。また2回以上不合格になった場合は再審できないのも大きい負担になります。
<版号の主要審査基準>
- 英語のみの作品タイトルは不可
- 未成年者との恋愛/結婚要素不可
- 流血描写の制限 など
国家新聞出版広電総局のサイト。こちらで月1回ペースで新作ゲームの版号状況を発表します。
中国展開への突破口
そのため中国展開のために、中国企業と協力が必須になってきたように感じます。
例えば、Rejet社の『剣が刻』の場合は中国現地の会社と共同開発、オトメイトやボルテージ社はインタラクティブフィクションのプラットフォームに自社ゲームをサービスする形を取っています。
『あんさんぶるスターズシリーズ』のように親会社が中国会社の例もありますね。
また、女性向けゲームの話ではありませんが、最近は日本のアニメや漫画、ゲームIPを中国のデベロッパーに提供することが多くなりました。
<2次元>が一つの人気ジャンルに定着しはじめてから、中国の有名動画プラットフォーム「bilibili」は良質の2次元タイトル確保に力を入れています。日本タイトルの輸入も増やす方針とのことで、カルチャライズなど専門スキルのクオリティもますます上がると期待しています。
女性向けは『A3!』『一血卍傑』、他にも『FGO』『プリコネR』『BanG Dream!』など
様々なジャンルの日本ゲームがbilibiliから中国向けにサービスを行っています。
終わりに
今まで5回に渡る中国乙女ゲームに関するコラムはいかがだったでしょうか?
動きが非常に速い中国のゲーム市場ですが、実はここ最近の女性向け市場は少し停滞気味です。コンテンツがコモディティ化してきているため、市場のさらなる発展のためには革新が必要な時期とも言えます。そのため2020年の後半~2021年にリリースを控えている新作たちがどれほどの革新をみせられるかどうか、とても重要になってきました。
日本の女性向けゲーム市場は中国と比べ動きが静的だと思います。
ジャンルや技術、メディアミックス面で変化が少ないため、個々の萌えを深く追求するのが大事な課題になってきましたように感じます。これも市場が成熟していくの一つの形ですが、ユーザーの幅を狭めてしまった結果市場自体の立地を狭めることにつながらないか懸念もあります。
恋には国境も次元も関係ありません。
女性向けゲームにおいても、ゲームを作った国がどこなのかを論ずるのはノンセンスになってきました。
中国から日本へ、日本から中国へ展開する事例も今後さらに増えていくでしょう。
日本も中国も、女性向けゲームは変化が必要な大事な時期です。願うには国に関係なく制作側もファンも女性向けゲームの成長に向け、互いに文化を理解し互いの強みを受け入れ、発展していくことを期待しています。
ひつじぐもでは、海外からのローカライズや制作などお手伝いします。
まずは、専用サイトをご覧になりお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。